アプリケーション開発をする方で、管理が煩雑になっていたり、アプリ公開や修正の自動化をしたりなどさまざまな悩みがあるのではないでしょうか。
そのような希望に対して、注目されているのがKubernetesです。
名前を聞く機会が増えたものの、基本的な概念や主な機能などがわからない人も多くいます。
この記事では、Kubernetesとは何か、メリットやデメリットを解説するので、ぜひ参考にしてください。
Kubernetesとは?
Kubernetesとは、オープンソースソフトウェアの1つです。
コンテナの運用管理・自動化を行うために設計され、操作対象はDockerをはじめとするコンテナです。
読み方は「クーベネティス」もしくは「クバネティス」で、ギリシャ語で「操舵手・パイロット」を意味します。
アプリケーションの動作環境を仮想構築するコンテナは、1つの単位としてシステムから分離できる点が特徴です。
複数のOSが実行しているシステムを1つにまとめられます。
参考:Kubernetesとは? 基本をわかりやすく解説 – Sysdig
Kubernetesの主な機能
Kubernetesの主な機能は、以下の4点です。
- 負荷を分散
- コンテナの運用管理
- 自動でコンテナを配置
- セキュリティ
それぞれを解説します。
負荷を分散
Kubernetesは負荷を分散させ、コンテナの管理運用を安定的に行えるようにします。
DNSまたはIPアドレスを使用してコンテナを可視化するため、リアルにアプリケーションの実行状況を把握することが可能です。
特定のコンテナへトラフィックが増加している時、自動でトラフィックを分散させます。
コンテナの運用管理
Kubernetesの核心的な機能の1つとして、コンテナの運用管理が挙げられます。
コンテナグループを一元管理し、サーバー性能に応じたコンテナの配属先を制御する点が特徴です。
コンテナの特性に合わせ、適宜リソースの割り当てを行い、シームレスな運用を可能にします。
作成・削除・リソース採用なども全て自動化できるので、あらゆるサービスの構築が可能です。
自動でコンテナを配置
自動でコンテナを配置する機能があります。
ローリング更新と呼ばれる機能で、全体を止めずに徐々にアプリケーションのバージョンアップが可能です。
さらに、更新によって問題が生じないかも合わせて監視し、最新Podを起動します。
万一、更新作業の最中に問題や障害が発生した場合には、以前に戻すローバックもできるので、安定した配置を期待できます。
セキュリティ
セキュリティ面を強化でき、パスワードやSSHキーなどの情報を保全する機能が備わっているため、機密情報をデプロイし、アプリケーションの構成情報が更新可能です。
ただし完全に環境を守れるわけではありません。必要に応じて拡張する必要があり、例えばSysdigは、多くの企業から信頼されているサービスで、Kubernetesとコンテナのセキュリティをスケーリングするのに役立ちます。
Kubernetesを使うメリット
Kubernetesを使うメリットは、以下のとおりです。
- アプリケーションの公開を効率化できる
- 拡張性が高い
- 起動が早い
- システム障害に強い
- 複数の環境で制約なく稼働できる
メリットの多いソフトウェアのため、それぞれ解説します。
アプリケーションの公開を効率化できる
アプリケーションの公開を効率化できるので便利です。
デプロイメント・更新・スケーリングなどのプロセスが全て自動化できるため、煩雑な作業や簡易的なミスなどが大幅に軽減できるでしょう。
無駄が省けるため、効率的にアプリケーションが公開できるのは大きなメリットです。
ローリングアップデートの機能を活用すると、新バージョンがリリースされた時も時間の差がなくスムーズに更新できます。
安定的な運用だけではなく迅速に公開できるサポートが提供されているのです。
拡張性が高い
コンテナの負荷増減を柔軟に対応できるので、拡張性の高さも魅力です。
自動スケーリング機能は、自動的にリソースの消費状況に応じ、スケールアップやダウンを行い、システムの可用性を安定させます。
大量のコンテナを一元管理できるため、複数のコンテナ間で設定ファイルの共有が可能です。
そのため、設定変更を行う際も一括で反映が可能という点は大きな魅力といえるでしょう。
一般的なコンテナツールであるDockerとの親和性が高い点も、メリットといえます。
起動が早い
KubernetesはOSやミドルウェアなどを共有しているので、起動が早いです。
コンテナそのもののメリットでもあり、アプリケーションが必要とするリソースのみが含まれるため、消費を抑えて高速化ができます。
Kubernetesを活用すると、より効率的に消費を小さくできるため、アプリケーション開発がスムーズです。
起動の早さは生産性向上につながるため、従来の仮想マシンとは違い高い費用を投じなくとも問題なく開発を行え、コスト面でのメリットともいえます。
システム障害に強い
Kubernetesは、システム障害に強く、動作環境をしっかりと構築できる点がメリットです。
冗長性・可用性を高めるための機能が多数備わっており、サービスを停止せずに提供を継続できます。
自動復旧機能が備わっているため、Kubernetesはコンテナに障害が発生したとしても、コンテナを再起動・入れ替えを自動で行います。
問題のない状態にまで回復させるので、不安定感がありません。
また、問題発生時には自動でロールバックするため、ダウンタイムなしでアプリケーションの更新が安定して行えます。
複数の環境で制約なく稼働できる
Kubernetesのメリットは、複数の環境で制約なく稼働できる点です。
オンプレミスでもクラウド環境でも関係なく、稼働が可能なので特定のクラウド環境に依存しません。
開発環境に制約がないため、機能・パフォーマンスを損なわずにコンテナ化したアプリケーションを簡単に別環境へ移行できるでしょう。
インフラストラクチャ環境が複雑で可変的な場合、Kubernetesの対応性や移植性の高さは大きな魅力です。
Kubernetesを使うデメリット
メリットの多いKubernetesですが、以下のデメリットもあります。
- 初期投資がかかる
- 継続的に学ばないといけない
- 頻繁な更新への対応が必要になる
- サーバー数が多くなる
メリットだけではなく、デメリットも理解することで後悔のない使用が可能です。
初期投資がかかる
どのようなソフトウェアでも、初期投資は必要です。
Kubernetesを導入する際も、必要な管理・運用を行うためのサーバーやリソースを整えなくてはいけません。
状況によっては、専門的な知識をもつスタッフの教育・トレーニングを行う費用も発生します。
ツール導入初期の頃は、時間・労力がかかってしまうので、スタートアップ企業の場合は大きなハードルとなるでしょう。
継続的に学ばないといけない
一度導入した後はそのままでも良いというわけではなく、Kubernetesは継続的な学びが必要です。
クラウド・サーバー・ネットワークの知識など、広い領域の知識が大事です。
Kubernetesは、近年注目されているため需要はかなり拡大していますが、学習教材に関しては豊富とはいえません。
機能が豊富なため、常に進化を続けているので導入した後も最新の知識を継続的に学んでいく必要があります。
このような情報のアップデートや学習に関して、デメリットと感じる人は多いです。
頻繁な更新への対応が必要になる
機能が多いため、アップデートの頻度も多いです。
そのため、頻繁な更新への対応も必要になり、都度テストや検証を行います。
機能が多いというのはメリットですが、Kubernetesはまだ発展中のため、新しい機能の追加・セキュリティ面での改善なども頻繁に行われるのです。
そのたびにアップデートや更新の確認作業などが必須です。
時期によっては、更新が月に何回もある場合もあるため、デメリットといえるでしょう。
サーバー数が多くなる
複数の環境で動作ができるKubernetesは、物理サーバーの台数が多くなりやすいです。
導入時、冗長性や可用性を確保するためにクラスター内のノード数を増やします。
増やすことで、物理サーバーの数も増加するため、想定以上に物理インフラの拡充が必要になるケースもあるのです。
管理の手間を削減するためにKubernetesを導入したのに、物理サーバーが多いのはデメリットに感じられます。
活用するためには、Kubernetesの継続的な学習を続け、サービスへの理解を深めてください。
まとめ
Kubernetesの主な機能やメリット、デメリットをご紹介しました。
数多くの機能があるため、アプリケーション・システム開発の効率化が期待できます。
環境を選ばずに作業が行え、自動化も進められるため、コスト軽減やスムーズな管理を望む場合は利用が適しているでしょう。